地位確認等請求事件
新型コロナウイルスの流行に伴う業績悪化を理由に会社から解雇された従業員が、解雇は無効であるとして、労働契約上の地位の確認や賃金・損害賠償の支払いを求めた裁判。
訴えた側(原告)の事情
原告は、会社から言い渡された解雇について、人員削減の必要性や解雇回避努力(解雇を避けるための工夫)がなく、人選や手続にも合理性がないため、整理解雇(会社の都合による人員整理)の4要件を満たさず無効であると主張した。また、違法な解雇により精神的苦痛を受けたとして、代表者に対する損害賠償も求めた。
訴えられた側(被告)の事情
被告会社は、親会社からのクルーズ船の運行停止指示により売上がゼロとなり、多大な営業損失が生じたため、人件費削減を余儀なくされたと主張した。また、経費削減や退職勧奨などの解雇回避努力を尽くし、適正な評価基準に基づいて解雇対象者を選定したため、本件解雇は客観的に合理的な理由があり有効であると反論した。
裁判所の判断
裁判所は、クルーズ船の運行停止により長期にわたり売上が得られない蓋然性が高く、人件費削減の高度の必要性があったと認めた。また、会社が組織の存続と両立する範囲で解雇回避努力を尽くし、客観的指標に基づく評価基準で解雇対象者を選定したことや、手続にも妥当性があるとして、本件解雇は有効であると判断した。将来の賃金請求については、あらかじめ請求する必要がないとして却下した。
この事件だけの事情
新型コロナウイルスの世界的流行という極限的な状況下において、親会社からの業績悪化の影響や雇用調整助成金の受給可能性等を総合的に考慮して、整理解雇の有効性が判断された事例である。
結論
被告側の言い分がほぼ全面的に認められ、原告の請求は却下および棄却された。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2023-05-29 |
|---|---|
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 令和2(ワ)19834 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索