地位確認等請求控訴事件、同附帯控訴事件
成年後見制度の利用により警備員を辞めざるを得なくなった原告が、法整備を怠った国に対して損害賠償を求めた裁判です。
訴えた側(原告)の事情
原告は、保佐開始の審判を受けたことで警備業法の欠格事由に該当し、退職を余儀なくされた。法規制が憲法に違反し、国会が長年法改正を怠った立法不作為(法律を作るべき義務を怠ること)は違法であるとして、慰謝料100万円を求めた。
訴えられた側(被告)の事情
被告の国は、警備員には高い認知・判断能力が必要であり、欠格事由を設けたことは憲法に違反しないと主張した。また、仮に違法であっても、国会が改正しなかったことが明白に違法だったとは言えず、因果関係もないと反論した。
裁判所の判断
裁判所は、被保佐人(判断能力が著しく不十分な人)を一律に警備員から排除する規定は、職業選択の自由や法の下の平等を保障した憲法に違反すると判断した。さらに、遅くとも平成22年7月頃には違法性が明白であったのに国会が改廃しなかったことは国家賠償法上違法であるとし、原告の精神的苦痛に対する慰謝料として50万円が相当であると結論づけた。
この事件だけの事情
法的な欠格条項により職業選択の自由が制限されたことに対する国会の立法不作為の違法性が問われた事案であり、障害者権利条約の趣旨も踏まえて違憲性が判断されている。
結論
原告の請求が一部認められた。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2022-11-15 |
|---|---|
| 裁判所 | 名古屋高等裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 令和3(ネ)833 |
| 分野 | 行政 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索