地位確認等請求事件
職員が別法人への異動命令(仕事や勤務地が変わる人事異動)を妻の病気を理由に断ったところ、解雇された事件。解雇が無効であることや給料の支払いを求めて裁判になった。
訴えた側(原告)の事情
妻が重い精神疾患を抱えており、自分の全面的な支援が不可欠であることや、異動によって妻の症状が悪化し自殺の危険もあると主張した。また、今回の異動は労働者の同意が必要な「転籍(元の会社を辞めて新しい会社で働くこと)」にあたるのに同意しておらず、異動命令の拒否を理由とする解雇は重すぎて無効であると訴えた。
訴えられた側(被告)の事情
被告と異動先の組織の間では、これまでもグループ内での人事交流が広く行われており、今回の異動は実質的に在籍出向(元の会社に籍を残したまま働くこと)にあたると主張した。また、異動によって原告の通勤時間が短縮され、家族と過ごす時間が増えることなどから、異動命令やそれを拒否したことを理由とする解雇は正当であると反論した。
裁判所の判断
裁判所は、本件の異動は元の会社を辞めて新しい会社と契約する「転籍出向」にあたり、労働者の個別の同意が必要であるのにそれが無いと指摘した。さらに、仮に出向だとしても、妻の重い病状や異動による危険性を考慮すると、異動命令は権利の濫用であり無効であると判断した。したがって、命令に応じなかったことを理由とする解雇も、重すぎて無効であると結論づけた。
この事件だけの事情
元の組織が独立行政法人へと移行した歴史的経緯や、転籍出向における労働者の同意のあり方、家族の精神疾患に基づく配慮義務が問題となった。
結論
原告の言い分が概ね認められ、解雇が無効であることや給与等の支払いが命じられた。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2018-03-07 |
|---|---|
| 裁判所 | 大阪地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成28(ワ)7385 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索