地位確認等請求事件
病院で働く医師が、年俸制の給与には時間外労働などの割増賃金(残業代)が含まれていたという病院側の主張に対し、通常の賃金と残業代の部分が区別できないため違法だと訴え、未払い賃金の支払いを求めた事件。
訴えた側(原告)の事情
医療法人に雇用されていた医師である原告は、病院の医師として勤務した際の時間外労働や深夜労働に対する割増賃金(残業代)が支払われていないと主張。年俸の中に残業代が含まれているとされていたが、通常の賃金と残業代が明確に区別できないため、労働基準法違反にあたると訴えた。
訴えられた側(被告)の事情
医療法人である被告は、年俸1700万円の中に時間外労働等に対する割増賃金を含めて支払う合意(本件合意)があったと主張。医師である原告は業務の裁量があり、給与も高額で保護に欠けるおそれはないため、月額給与や当直手当に割増賃金が含まれて支払われていたと反論した。
裁判所の判断
裁判所は、労働基準法が定める割増賃金をあらかじめ基本給等に含めて支払う場合、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分が判別できる必要があると指摘。本件では割増賃金に当たる部分が明らかにされていないため、年俸の支払により割増賃金が支払われたとはいえないと判断し、原告の請求を退けた原審の判断を破棄して差し戻した。
この事件だけの事情
年俸制における残業代(割増賃金)の包含合意について、通常の賃金部分と割増賃金部分が明確に区別できる必要があるという判断基準を示した事例。
結論
原告(医師)の上告が一部認められ、高裁判決が破棄され審理がやり直されることになった。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2017-07-07 |
|---|---|
| 裁判所 | 最高裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成28(受)222 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索