地位確認等請求事件
会社分割で別会社に移された従業員が、事前の説明や話し合いが不十分で無効だと主張し、元の会社での地位確認や賃金・賞与の支払いを求めた裁判。
訴えた側(原告)の事情
元の会社の工場で働いていたが、会社分割に伴い新会社への移籍を求められた。十分な説明や話し合い(5条協議)が行われないまま、労働組合への加入を理由に事実上の退職勧奨や不利益を示唆され、実質的に選択の余地なく移籍させられたと主張する。その後、新会社を解雇されたため、元の会社との労働契約が有効であることの確認と給与等を求めて提訴した。
訴えられた側(被告)の事情
従業員に対して説明会を複数回開き、質問を受け付けるなど個別協議(法が求める労働契約の承継に関する協議)を適切に実施したと主張する。また、従業員は誓約書を提出して移籍に同意しており、長期間異議を唱えなかったことや、提訴が遅れたことは信義則に反すると主張。さらに、新会社の経営悪化による解雇は正当であり、元の会社での責任はないと反論した。
裁判所の判断
裁判所は、元の上司との面談が実質的な希望聴取とは言えず、労働組合からの脱退と引き換えに移籍を迫るようなものであったため、法律が義務付ける十分な協議(5条協議)が行われておらず無効であると判断した。また、誓約書は秘密保持に関するもので退職の意思表示とは認められず、提訴の遅れが信義則違反にあたるともいえないとして、原告の地位を確認し、未払いの賃金と賞与の支払いを命じた。
この事件だけの事情
会社分割における労働契約の承継に際して行われる事前協議(商法改正附則5条の協議)の法的要件や、退職勧奨とセットで行われた面談の有効性が厳しく審査された事例である。
結論
原告(従業員側)の主張が認められ、元の会社での地位確認と賃金・賞与の支払いが言い渡された。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2017-03-28 |
|---|---|
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成27(ワ)10139 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索