退職金請求事件(通称 アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー競業避止義務)
会社を辞めて同業他社に転職した元幹部の従業員に対し、会社が競業避止義務(他社への就職を制限する義務)に違反したとして退職金を支払わなかったため、元従業員が退職金の支払いを求めて訴えた事件。
訴えた側(原告)の事情
原告(元従業員)は、会社との間で退職金支払合意に基づいて退職金の支払いを求めた。会社が定める競業避止条項は、期間や範囲が広すぎて職業選択の自由(仕事を選ぶ自由)を不当に害し、公序良俗(社会の道徳や秩序)に反して無効であると主張した。
訴えられた側(被告)の事情
被告(会社)は、原告が最高幹部として経営の根幹情報に通じていたため、競業行為を禁止することに合理性があると主張した。また、転職先での業務は会社に回復不能な損害を与えるものであり、競業避止条項に違反したため退職金不支給条項を適用するのは正当であると主張した。
裁判所の判断
裁判所は、原告の退職前の地位は高度であったが、長期にわたる機密情報に触れる立場とはいえず、会社の目的が正当な利益保護とはいえないことや、競業禁止の範囲が広すぎる点などを指摘した。その上で、競業避止義務を定める合意は合理性を欠き無効であると判断し、退職金の不支給条項も無効であるとして原告の請求を認めた。
この事件だけの事情
退職金が賃金の後払いとしての性格も持つことや、転職による会社への実際の実害が認められない点が重視された。
結論
原告の請求がすべて認められた。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2012-01-13 |
|---|---|
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成22(ワ)732 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索