地位確認等請求事件(通称 東京都国立大学大学院教授懲戒解雇)
大学の教授が、助手が行った実験に基づく再現性のない複数の論文を責任著者として発表し、大学の名誉や信用を傷つけたとして懲戒解雇されたことに対し、解雇の無効と未払給与の支払を求めた事件。
訴えた側(原告)の事情
原告である教授は、実験は助手が行ったものであり、責任著者としての必要な役割は果たしたと主張。また、再現性がないとは断定できず、懲戒解雇は重すぎて権利の濫用であり、解雇予告手続の違反もあると訴えた。
訴えられた側(被告)の事情
被告である大学側は、教授は論文の信頼性について最終的な責任を負う立場にありながら、データのチェックや実験経過の確認を全く行わず、他からの指摘も軽視して問題のある論文を繰り返し発表したため、懲戒解雇は有効であると主張した。
裁判所の判断
裁判所は、原告が責任著者として実験データや実験ノートの確認などの基本的なチェックを怠り、再現性のない論文を複数発表したことは重い責任があると判断。また、多くの疑問や指摘があったにもかかわらず発表を続けたことは研究者としてあり得ない行為であり、大学の名誉や信用を著しく傷つけたとして、懲戒解雇は有効であると結論づけた。ただし、解雇予告手当の不備により解雇の効力発生日は後にずれるため、その間の未払給与の請求一部を認めた。
この事件だけの事情
解雇予告手当の支払がない即時解雇について、使用者が即時解雇に固執する趣旨でないときは、通知から30日経過するか予告手当を支払った時点で解雇の効力が発生すると解され、実際の解雇効力発生日までの日割り給与が認められた。
結論
原告の請求の一部が認められ、解雇の効力発生日までの未払給与の支払が命じられた。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2009-01-29 |
|---|---|
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成19(ワ)5281 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索