退職手当支給制限処分取消請求事件(通称 京都市立中学校教頭退職手当支給制限処分取消)
中学校の教頭だった原告が、酒気帯び運転をして物損事故を起こしたことを理由に、退職手当を全額不支給とする処分を受けた。原告は、この処分は裁量権(判断の自由度)の濫用(行き過ぎ)であるとして、処分の取消しを求めた事件。
訴えた側(原告)の事情
原告は、退職手当には賃金の後払いとしての性格もあるため、懲戒免職(最も重い懲戒処分)になっても全額支給が原則であると主張した。また、長年の熱心な勤務実績があり、事故は私生活でのもので被害弁償も済んでいることなどから、全額不支給は重すぎると訴えた。
訴えられた側(被告)の事情
被告である市側は、懲戒免職処分を受けた者には退職手当を支給しないのが原則であると主張した。非違行為(法に違反する行為)が極めて悪質であり、国の方針や条例に照らしても、すべての実績を考慮した上で全部不支給とした処分に違法はないと反論した。
裁判所の判断
裁判所は、退職手当の全部不支給が認められるのは、長年の勤続の功をすべて抹消してしまうほどの重大な背信行為がある場合に限られるとした。本件では、危険な飲酒運転で悪質である一方、長年の教育への貢献や、示談を済ませていることなどを考慮し、全額を不支給とした処分は社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を逸脱・濫用した違法なものであると判断した。
この事件だけの事情
国家公務員等の退職手当法改正により、退職手当の支給制限が独立の処分となった平成21年以降の制度運用に関する判断が示されている。
結論
原告の請求が認められ、退職手当の支給制限処分が取り消された。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2012-02-23 |
|---|---|
| 裁判所 | 京都地方裁判所 |
| 区分 | 行政の裁判 |
| 事件番号 | 平成22(行ウ)35 |
| 分野 | 行政 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索