退職金請求事件(通称 キャンシステム退職金請求)
有線音楽放送会社の従業員ら約311名が,会社の違法状態や将来への不安などを理由に一斉に退職して競合他社へ転職したところ,会社側から懲戒解雇や退職金不支給・減額されたため,退職金の支払を求めた事件。
訴えた側(原告)の事情
原告らは,会社側に電柱の無断使用や時間外手当の不支給などの違法な問題があり,勤務継続を断念して適法な業務を行う新会社へ転職したものである。一斉退職の共謀や業務妨害の意図はなく,懲戒解雇や退職金の不支給・減額は無効であると主張した。
訴えられた側(被告)の事情
被告会社は,原告らが新会社の設立者と共謀して事前の予告や引継ぎもせず一斉に無断欠勤し,会社の業務を麻痺させて多大な損害を与えたと主張した。そのため,懲戒解雇や退職金規定に基づき退職金は不支給(または減額)になると反論した。
裁判所の判断
裁判所は,7月10日から16日までに退職届を提出して欠勤した原告らについては,会社に重大な損害を与えることを意図した一斉退職の共謀や業務引継ぎの懈怠(けたい:義務を怠ること)が認められるため,懲戒解雇は有効であり退職金不支給も正当であると判断した。一方,7月17日以後に退職した原告らについては,一斉退職の共謀や懲戒解雇事由は認められないため,退職金の不支給は許されないと判断した。
この事件だけの事情
原告311名という大規模な集団訴訟であり,退職日(退職届の提出時期)によって一斉退職の共謀や懲戒解雇の有効性が区別され,一部の原告の請求のみが認められる結果となった。
結論
一部の原告らの請求が認められ,その余の原告らの請求は棄却された。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2009-10-28 |
|---|---|
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成16(ワ)12622 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索