賃金
会社の賃金引上げの際に、前年の欠勤や有給休暇などの不就労による稼働率が80%以下の人を除外するルールが、労働者の権利を制限し公序良俗に反して無効かどうかが争われた裁判。
訴えた側(原告)の事情
従業員側は、年次有給休暇や労働災害による休みなどを稼働率の計算に含めて賃金引上げから除外することは、法律で認められた権利の行使を妨げるものであり、無効であると主張して未払い賃金などの支払いを求めた。
訴えられた側(被告)の事情
会社側は、出勤率の低い者を除外するルールは経済的合理性があり、労働組合との間で毎年協定を結んで合意の上で運用してきたものであり、全体として有効であると主張した。
裁判所の判断
裁判所は、稼働率の低い者を除外する制度自体は一応の合理性があるとしつつも、産前産後の休業や労災、有給休暇など法律上の権利に基づく不就労まで含めて計算の基礎とすることは、労働者の権利行使を抑制し、法律の趣旨を実質的に失わせるため、その部分については公序に反し無効であると判断した。
この事件だけの事情
ルール全体が無効ではなく、法律上の権利に基づく不就労を基礎としている部分だけが一部無効であると判断された。
結論
労働者側の請求を退けた二審判決を破棄し、個々の被上告人の請求の有無についてさらに審理させるため、裁判を原審に差し戻した。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1989-12-22 |
|---|---|
| 裁判所 | 最高裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 昭和59(オ)303 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索