賃金等
病気により一部の業務ができなくなった労働者に対し、会社が自宅療養を命じて賃金を支払わなかったことについて、労働者が賃金を請求した事件。
訴えた側(原告)の事情
労働者は、バセドウ病という病気のため建築工事現場での現場監督の作業や長時間の残業などはできないものの、図面作成などの事務作業を行うことは可能であり、その提供を申し出ていた。そのため、会社が賃金を支払わなかったのは不当であるとして、不就労期間中の賃金などの支払いを求めた。
訴えられた側(被告)の事情
会社は、労働者が病気で現場の作業ができない以上、労働の全部が不能であるとした。また、現場での事務作業はわずかであり、信義則上(常識や公平の観点上)、事務作業だけを担当させることはできないと主張し、自宅療養を命じて賃金を支払わなかった。
裁判所の判断
最高裁は、職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合、現に命じられた業務が十全にできなくても、能力や経験などに照らして配置される現実的可能性がある他の業務について労務を提供できるなら、債務の本旨に従った(契約内容に合った)履行の提供があると解すべきであるとした。その上で、他の業務に配置される可能性があったかなどを審理していない原判決には誤りがあるとして、原判決を破棄し、裁判所に差し戻した。
結論
最高裁判所は原判決を破棄し、審理をやり直すため裁判所に差し戻した。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1998-04-09 |
|---|---|
| 裁判所 | 最高裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成7(オ)1230 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索