地位確認等請求、仮執行の原状回復申立て事件
銀行が就業規則を変更して55歳以上の従業員の給与を大幅に引き下げたことについて、従業員側が無効と賃金の支払を求めた事件。
訴えた側(原告)の事情
銀行に勤める従業員らは、55歳に達したことを理由に専任職に発令され、基本給の凍結や業績給の削減、手当の不支給などにより賃金を大幅に引き下げられたのは不利益変更(労働者にとって不利な労働条件の変更)であり無効であると主張し、本来得られるはずだった賃金の支払等を求めた。
訴えられた側(被告)の事情
銀行側は、高コストで収益力が弱い企業体質や人員構成の高齢化という厳しい経営環境の中、人件費を抑制して賃金配分の偏在化を是正するため組織改革を行う必要があり、労働組合との合意や経過措置等も設けた就業規則の変更は合理的なものであると主張した。
裁判所の判断
裁判所は、銀行側の経営上の必要性や組織改革の目的は認められるものの、本件の賃金引き下げは高年層の従業員に対して大幅な不利益を一方的に課すものであり、他の従業員の賃金改善の代わりに一部の層にのみ大きな負担を負わせる内容であると指摘した。労働組合の同意があること等を考慮しても、変更に同意しない従業員に法的に受忍(がまん)させるだけの高度の必要性に基づいた合理的なものとは認められないと判断した。
この事件だけの事情
55歳到達時の役職変更と連動した大幅な賃金引き下げについて、経営上の必要性はあるものの、特定の高年層への負担集中や不利益の大きさを理由に就業規則の変更の合理性を否定した最高裁判所の重要な判断である。
結論
従業員側の主張が基本的に認められ、原判決の一部が破棄され差し戻された。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2000-09-07 |
|---|---|
| 裁判所 | 最高裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成8(オ)1677 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索