賃金請求控訴,同附帯控訴事件
労働組合と会社の間で給与引き上げ(ベースアップ)の金額に合意があったものの、書面による協定書が作成されなかったことを理由に、会社が組合員へのベースアップ分の支給を拒んだため、従業員らが未払い賃金の支払いを求めた事件。
訴えた側(原告)の事情
会社との間でベースアップの金額についての合意が成立したのだから、その分の未払い賃金を支払うべきであると主張して、未払い賃金や時間外労働の増額分の支払いを求めた。
訴えられた側(被告)の事情
労働組合法により、労働協約は書面に作成し署名または記名押印しなければ効力を生じないと定められているところ、本件では協定書が作成されていないため、労働協約としての規範的効力(労働条件を規律する効力)は生じていないと主張した。
裁判所の判断
裁判所は、労働組合法14条により、労働協約は書面に作成され両当事者が署名または記名押印しなければ、合意が成立しても規範的効力を付与することはできないと解されるとした。本件では具体的な引上げ額については合意したものの協定書が作成されておらず、労働協約としての効力を満たしていないため、従業員らの主位的請求(優先的な請求)は認められないと判断した。
この事件だけの事情
未払賃金請求等の主位的請求は棄却されたが、予備的請求(不法行為による損害賠償)について更に審理を尽くさせるため、高等裁判所に差し戻された。
結論
労働者側の主な請求は退けられ、損害賠償の請求については裁判所での審理がやり直しとなった。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2001-03-13 |
|---|---|
| 裁判所 | 最高裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成12(受)192 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索