賃金等請求(通称 日本航空就業規則変更)
航空会社の機長らが、会社が管理職長時間乗務手当の支給基準を引き下げたのは就業規則の不利益変更(労働条件を一方的に不利に変えること)にあたり無効であるとして、改定前の手当との差額未払賃金の支払いを求めた事件。
訴えた側(原告)の事情
会社の経営状態は回復基調にあり、過酷な長時間労働の対価である手当の大幅な引き下げには高度の必要性や合理性がない。また、労働組合との十分な合意もないまま不利益を受ける機長らに受忍を強いるものであり、変更は無効であると主張した。
訴えられた側(被告)の事情
90年代以降の不況やイールド(旅客単位当たり収入)の低下により深刻な業績悪化に陥っており、国際競争力を高めるための人件費抑制(コスト削減)は不可欠であった。高額な機長の給与水準の適正化を目的とした手当の見直しには高度の必要性があり、変更に合理性があると主張した。
裁判所の判断
裁判所は、会社に経営改善の必要性があったことは認めつつも、その程度は必ずしも高くなく、他職種との時間換算率に関する説明の説得力不足、代償措置の欠如、機長らが被る不利益の大きさ(年間100万円以上の減額など)等を総合考慮すると、本件変更に法的規範性を是認できるだけの高度の必要性や合理性があったとは認められないと判断した。
この事件だけの事情
機長らという高所得層の労働者における手当の不利益変更の効力が争われた事案で、複数の請求事件が併合され、総額約3000万円を超える未払賃金の支払いが命じられた。
結論
原告である機長らの請求が全面的に認められた。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 2003-10-29 |
|---|---|
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成11(ワ)16808等 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索