退職金及び未払賃金請求事件
会社を辞めた従業員が、未払いの賃金や退職金の支払いを求めて会社を訴えた裁判。会社側は、従業員がすぐに同業他社で働き始めたことなどを理由に支払いを拒みました。
訴えた側(原告)の事情
従業員側は、会社が一部違法な賃金カットや懲戒処分(社内での罰)を行い、事実上退職に追い込んだと主張しました。そして、未払いとなっていた給与や賞与(ボーナス)、および退職金の全額を支払うよう求めました。
訴えられた側(被告)の事情
会社側は、従業員が会社の規則に違反して競合他社と取引したり、引き継ぎを十分に行わずに辞めて同業他社を始めたため、規則に基づき退職金を不支給にしたと主張しました。また、賞与や奨励金は会社の裁量によるもので請求権はないと反論しました。
裁判所の判断
裁判所は、従業員に社内規則に違反するなどの問題があったと認めつつも、退職金の全額を不支給にすることは「背信性(会社を裏切るような重大な行為)」が認められる場合に限られ、今回はそこまでの事情はないと判断しました。また、一部の賞与や奨励金は実質的に賃金にあたると認め、会社に対して退職金と未払賃金の一部を支払うよう命じました。
この事件だけの事情
退職金の不支給条項について、競業避止義務違反(退職後に同業で働かない義務)を理由に全額を奪うことは制限されるという判断が示されました。
結論
従業員側の請求が一部認められ、会社は退職金と未払賃金を支払うことになりました。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1990-08-31 |
|---|---|
| 裁判所 | 名古屋高等裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 平成1(ネ)386 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索