退職金請求事件
会社が退職金(退職時に支払われる給与)のルールを労働者に不利に変更したことについて、変更前のルールで退職金を計算すべきだとして元従業員が会社を訴えた事件です。
訴えた側(原告)の事情
原告である元従業員は、入社時のルールでは退職金が「基準賃金総額(基本給に各種手当を含めた額)」をベースに計算されることになっていたが、会社がこれを一方的に「基本給のみ」をベースにするよう不利益に変更したのは認められないと主張しました。
訴えられた側(被告)の事情
被告である会社側は、退職金のルール変更には経営上の理由などから合理性があり、従業員側も長期間異議を述べずに働いていたため黙示の同意(明示しないが暗黙の了解による同意)があったと主張しました。
裁判所の判断
裁判所は、退職金は長期の労働の対償である賃金であり、労働者に不利益なルールの変更は、原則として労働者の同意がなければ一律に適用できないと判断しました。また、組合が反対し続け、個人として異議を述べずに就労していた事実だけでは黙示の同意があったとは認められないとしました。
この事件だけの事情
就業規則(職場のルール)の不利益変更において、労働者の同意がない場合の効力や、長期間異議を述べずに働いていたことによる黙示の同意の有無が争点となった重要な裁判例です。
結論
元従業員側の主張が認められ、原告側の勝訴となりました。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1970-05-28 |
|---|---|
| 裁判所 | 大阪高等裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 昭和42(ツ)69 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索