日本鋼管川崎製鉄所解雇
労働者が政治活動による事件で逮捕・起訴され、会社の名誉や信用を傷つけたとして懲戒解雇された。労働者が解雇の無効を求めて地位保全を申し立てた事件。
訴えた側(原告)の事情
労働者側は、事件は政治活動の一環であり企業の業務とは無関係であって、企業の体面を汚すおそれもなく、解雇の理由には該当しないと主張した。また、私生活上の言動に懲戒権(会社が労働者を罰する権利)は及ばないと訴えた。
訴えられた側(被告)の事情
会社側は、労働者らの暴力的な事件が国内外で大々的に報道され、会社の社会的評価(体面)や業務、信用を著しく傷つけたと主張した。企業の維持発展には会社体面の保護が不可欠であり、懲戒解雇は正当であると反論した。
裁判所の判断
裁判所は、従業員が事業所外で行った違法行為であっても、企業の社会的評価を著しく毀損(きそん)し、経営に重大な損害や支障を生じさせた場合は、就業規則に定める懲戒事由に該当すると判断した。その上で、労働者らの地位を仮に定める仮処分について、保証金を立てさせる条件でこれを認めた。
この事件だけの事情
従業員の私生活上の政治活動による事件が、大企業の社会的信用や経営に与えた影響と、就業規則における会社体面条項の解釈が争点となった特殊な事案である。
結論
会社側の懲戒解雇の正当性が一定程度認められ、条件付きで労働者の仮の地位が認められた。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1969-04-15 |
|---|---|
| 裁判所 | 東京高等裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 昭和42(ネ)2349 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索