荏原実業解雇
組合の書記長である従業員が、会社の許可なく外部のビラを掲示板に貼り、剥ぎ取りを命じられたものの拒否したところ、会社から解雇された事件。従業員は解雇の無効と未払賃金を求めて提訴した。
訴えた側(原告)の事情
原告は会社に雇用された労働組合の書記長である。組合の掲示板に外部のビラを掲示したところ、会社から業務上の指示命令違反として解雇された。原告は、この解雇は労働組合の活動を嫌悪した差別であり、不当労働行為(労働組合の活動を理由とする不利益な扱い)として無効であると主張し、雇用関係の確認と未払賃金の支払いを求めた。
訴えられた側(被告)の事情
被告である会社は、原告が会社の許可なく外部のビラを掲示板に貼ったことや、管理課長からの職務上の指示命令に不当に反抗したことを理由に普通解雇(通常の解雇)を行った。会社側は、これは就業規則に違反する行為であり、不当労働行為には該当しないと主張し、原告の請求の棄却を求めた。
裁判所の判断
裁判所は、原告のビラ貼りが労働協約(会社と組合の間で結ばれた取り決め)に違反する形式的な問題はあったと認めた。しかし、会社が直接従業員個人に対して業務命令としてビラ剥ぎ取りを命じ、それに従わなかったことを理由に即座に解雇することは、事案の性質上極めて相当性を欠く(妥当ではない)と判断した。したがって、本件の解雇は権利の濫用(法律上の権利の行き過ぎによる無効)にあたり無効であると結論づけた。
この事件だけの事情
外部ビラの掲示に関する労働協約上のルール違反自体は認めつつも、それに対する会社の対応が過剰であり権利の濫用にあたると判断された点に特徴がある。
結論
原告の請求がすべて認められた。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1969-07-01 |
|---|---|
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 昭和42(ワ)672 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索