三愛作業解雇
大学中退の経歴を隠して採用された労働者が、試用期間中に解雇されたのは無効だと訴え、裁判所が地位保全と賃金の仮払いを認めた事件。
訴えた側(原告)の事情
労働者は、3か月の試用期間付きで港湾作業員として採用され、真面目に働いていた。大学中退の経歴を記載しなかったのは思想・信条の自由に関わるものであり、解雇は権利の濫用であると主張して、労働者としての地位の確認と賃金の支払いを求めた。
訴えられた側(被告)の事情
会社は、高校卒業以下の者に限定して現場作業員を採用する方針だった。労働者が大学中退の経歴や職歴を偽って応募したことは、就業規則の懲戒解雇事由に該当し、労働力評価を誤らせたため、留保解約権(試用期間中に解約できる権利)を行使して解雇したのは適法であると主張した。
裁判所の判断
裁判所は、経歴詐称は信義則違反にあたるが、職務内容や実際の勤務成績を考慮すると、それだけで直ちに解雇するのは解雇権の濫用にあたると判断した。ただし、試用期間中の地位であるため、決定告知の日から3か月の試用期間を再設定して地位を保全し、その間の賃金の仮払いを認めた。
この事件だけの事情
大学中退の経歴詐称を理由とした試用期間中の解雇について、その有効性が争われた事案である。
結論
労働者の訴えが一部認められ、一定期間の労働者としての地位と賃金の仮払いが認められた。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1980-08-06 |
|---|---|
| 裁判所 | 名古屋地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 昭和54(ヨ)831 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索