鈴江特許事務所懲戒解雇
特許事務所に勤める従業員が、刑事事件で逮捕・報道されたことで解雇されたのは無効だと主張し、地位保全や賃金の仮払いを求めた事件。
訴えた側(原告)の事情
従業員側は、嫌疑不十分で不起訴処分(犯罪の疑いが晴れて裁判にならないこと)となったことや、組合活動を行っていたことから、今回の解雇は権利の濫用や不当労働行為にあたり無効であると主張し、給与の支払いや職場に留まる権利を求めた。
訴えられた側(被告)の事情
事務所側は、主要な取引先である一流企業から機密保持の観点で極左グループと関係のある人物の雇用を問題視されるおそれがあり、事務所の存立に関わるため、就業規則に基づく懲戒解雇および普通解雇(通常の解雇)は正当であると主張した。
裁判所の判断
裁判所は、懲戒解雇については犯罪行為の証明が不十分であるとしたが、事務所の業務の特殊性や主要取引先との関係から、従業員が過激派等と関係があったとの疑いを持たれる状況が生じたことは、経営を維持するためにやむを得ない業務上の都合による普通解雇の事由に当たると判断した。ただし、約5か月間の賃金の仮払いを命じるほどの緊急の必要性はないとして、従業員の申請を却下した。
この事件だけの事情
主要取引先との信頼関係や機密保持の必要性が、従業員の解雇事由(やむを得ない業務上の都合)の正当性を判断する上で大きな要素となった点。
結論
事務所側の言い分がほぼ認められ、従業員の申請は却下された。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1980-10-01 |
|---|---|
| 裁判所 | 東京地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 昭和52(モ)6887 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索