三菱重工長崎造船所賃金カット
会社の指示で作業服や安全保護具を着る時間や準備体操へ向かう歩行時間が、労働時間にあたるかが争われた事件。裁判所は労働時間にあたるとし、会社に賃金の支払いを命じました。
訴えた側(原告)の事情
従業員側は、作業服や安全保護具の着用や更衣所から準備体操場までの歩行は、会社の指示によるものであり、業務として不可欠な準備行為であるから労働時間にあたると主張。したがって、始業時刻後にその準備を行った時間についても、未払い分の賃金を支払うよう求めました。
訴えられた側(被告)の事情
会社側は、作業服の更衣などは労働力提供のための単なる準備行為であり、使用者の直接の支配下にあるわけではないため労働時間にはあたらないと主張。また、仮に労働時間であっても、就業規則上は始業前に行うこととされており、賃金請求権は発生しないと反論しました。
裁判所の判断
裁判所は、法令や会社の規則により作業服や安全保護具の着用が義務付けられており、これらを怠ると不利益を受けることから、着替えや準備体操場への移動は使用者の指揮監督下における労務の提供(労働時間)にあたると判断しました。したがって、始業時刻後に行われたこれらの時間についても賃金が支払われるべきであると結論付けました。
この事件だけの事情
従業員個別の請求金額(数千円程度)や、被告会社が長崎造船所に勤務する多数の従業員を抱える企業である点が挙げられています。
結論
原告らの請求がすべて認められ、会社側に対して未払い賃金と遅延損害金の支払いが命じられました。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1987-11-27 |
|---|---|
| 裁判所 | 長崎地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 昭和60(ワ)316 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索