長崎生コンクリート賃金償還請求
会社から不当な転勤を命じられて働けなかった従業員が、生活のために別の仕事で得た収入について、会社側が「給与の代わりに返還してほしい」と求めた裁判。
訴えた側(原告)の事情
会社は、従業員に対して給料全額を支払った後、別の裁判でバックペイ(過去の未払い賃金)の支払義務がなくなったため、従業員が他で得た収入は不当利得(法律上の原因なく得た利益)にあたるとして、その全額の返還を求めた。
訴えられた側(被告)の事情
従業員は、会社の違法な就労拒否によって生活に困り、過酷な条件の別の仕事(タクシー運転手)で懸命に稼いだものであり、仕事の内容も全く違うため、得た収入の全額を会社に返す必要はないと主張した。
裁判所の判断
裁判所は、従業員が別の仕事で得た収入の全額をそのまま会社に返すべきではないとし、過酷な労働条件や従前のアルバイト収入などを考慮して、収入のうち3分の1だけが「働けなかったことによる利益」にあたると判断した。
この事件だけの事情
従業員が他で得た収入について、民法536条2項但書の利益償還において因果関係のある範囲を「3分の1」と限定し、さらに平均賃金の4割を超える部分は控除されないという独自の法的解釈を示した点。
結論
裁判所は原告(会社)の請求の一部を認め、被告(従業員)に対して一部の金員の支払いを命じた。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1988-02-12 |
|---|---|
| 裁判所 | 長崎地方裁判所 |
| 区分 | 民事の裁判 |
| 事件番号 | 昭和61(ワ)225 |
| 分野 | 労働 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索