須崎市退職手当返納命令無効確認等
市長を辞めた人が、退職後に受け取った退職手当の返納を命じられたことについて、条例の遡及適用(過去にさかのぼって適用すること)や命令が無効だとして確認を求めた事件。
訴えた側(原告)の事情
原告は、退職後に起訴されて有罪になったことを理由に、退職手当の返納を命じられた。しかし、退職当時には特別職の退職手当返納に関する規定はなく、後から作られた規定を過去にさかのぼって適用することは条例制定の基本原則に反して無効であり、本件処分には重大な瑕疵(欠陥)があると主張した。
訴えられた側(被告)の事情
被告は、他の自治体でも一般職と特別職を区別する趣旨はなく、公務員退職手当制度の統一的運用を図るためであり、条例の改正は不備の是正であると主張した。また、原告は当時の市長であり不備について責任があるため、返納命令の取消等を求めるのは信義則上許されないと主張した。
裁判所の判断
裁判所は、退職手当は支給後に返納を求める場合、厳格に解釈する必要があり、本件のような個人の財産を積極的に剥奪する処分についての遡及適用は、一般的な合理性や必要性では正当化できないと判断した。したがって、条例の遡及適用規定は無効であり、それを根拠とする本件処分には重大な瑕疵があるとして、原告の請求を認めた。
この事件だけの事情
退職手当の返納を求める条例の遡及適用が、個人の財産権の侵害にあたり許されないと判断された事例。
結論
原告の請求が認められ、退職手当返納命令が無効であることが確認された。
この裁判の情報
| 裁判年月日 | 1992-10-13 |
|---|---|
| 裁判所 | 高知地方裁判所 |
| 区分 | 行政の裁判 |
| 事件番号 | 平成3(行ウ)3 |
| 分野 | 行政 |
判決の全文
出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索